吃音を克服しない道:個性として受け入れる選択
吃音(きつおん)を持つ方にとって、言葉を発することが時に大きな壁となることがあります。しかし、吃音は「克服すべき欠点」ではなく、自分の個性の一部として受け入れることも、ひとつの選択肢です。私は、営業職という仕事をしながら、この吃音を無理に隠すのではなく、むしろ「昔からどもっちゃうんですよね(笑)」と自分から言うようにして、自然体でいることを選びました。今回は、私の吃音との付き合い方についてお話しします。
私が持つ吃音のタイプ
私の吃音は、いくつかの特徴を持っています。たとえば、話し始めに「あっ、あっ」と言葉がつかえてしまう「連発型」、一言目を発するのに苦労する「難発型」が主なものです。幼少期からこの症状に苦しみましたが、今では「克服」することを目指すのではなく、それを自分の個性として受け入れています。
幼少期の経験と吃音の発症
私の吃音は生まれつきではありません。幼少期、病気のために長期間の入院生活を送った経験が影響していると考えています。3歳までは言葉達者な子どもだったのですが、入院中のストレスや注射などの医療行為の影響で突然吃音が出るようになりました。それが原因で、「お母さん」と言いたいのに「お、お、おかあさん」と言葉が詰まるようになり、吃音が定着しました。
医療知識も乏しかった当時、吃音は一時的なものだとされ、特に治療が行われることはありませんでした。結果、私の吃音は深く根付いたものとなりましたが、それでも成長するにつれ、日常生活にはそれほど支障をきたさなくなりました。
営業職としての苦労と成長
現在、営業職として働いています。吃音を持ちながら営業の仕事をするのは大変です。自分でも驚くほど、独り言でも吃ることがあるので(笑)。しかし、仕事をする中で気づいたのは、吃音があっても大事な場面ではしっかりと伝えられるようになる、ということです。
最初は苦労しましたが、次第に練習と経験を重ねることで、プレゼンや面接のような肝心な場面では、吃音があっても意思を伝えられるようになりました。これは、私にとって大きな自信となり、吃音そのものを「克服」するのではなく、「自分なりに工夫して対応できる」と感じるようになったのです。
吃音を個性として受け入れる
吃音は、長い間私にとって悩みの種でしたが、今では自分の一部だと思っています。吃音は自分を「特別にする個性」だと受け入れることで、周囲に「どもっちゃうんですけど、それが私なんですよ」とオープンに話せるようになりました。吃音は恥ずかしいことでも、隠すべきものでもないと感じるようになったのです。
もちろん、周囲から吃音を笑われることもあります。実際に「どもること」をからかわれることがあっても、私はそれを笑い飛ばします。例えば、「昔からどもっちゃうんですよね、しょうがない(笑)」と言うことで、相手との距離感を縮めることもできます。大事なのは、自分がどう吃音を捉え、どう向き合っていくかだと思います。
吃音とコミュニケーション
吃音に苦労することはありますが、これが必ずしもコミュニケーションの障害になるわけではありません。むしろ、吃音があることで自分が一生懸命に話していることが伝わり、相手も理解しやすくなると感じることもあります。吃音を持ちながらも、営業職としてキャリアを積んできた私は、「どもることが必ずしもマイナスではない」ということを強調したいと思います。
吃音は恥ずかしいことではない
吃音を持つ人が、自己表現やコミュニケーションに対して自信を持てなくなることは少なくありません。しかし、吃音は恥ずかしいことではありません。むしろ、それを個性として受け入れることで、自分らしさを引き出し、人間関係にもプラスの影響を与えることができます。
吃音に悩んでいる方に伝えたいのは、無理に「克服」しようとするのではなく、それを自然な一部として受け入れることができれば、きっと自分に対する見方が変わるということです。そして、その過程で自分の強さや成長を実感できるようになるでしょう。
最後に:吃音を自分の「強み」に変える
私自身、吃音を抱えながらも日々努力し、営業職としてキャリアを積み重ねてきました。吃音は確かに大変なこともありますが、それは一生懸命さを伝えるための一つのツールにもなります。自分の特性を理解し、それを受け入れることができれば、吃音は「弱点」ではなく、「強み」にもなり得るのです。
吃音を持つすべての方に、自分を大切にしながら、吃音と向き合って欲しいと思います。自分の個性を活かし、無理に「克服」するのではなく、自然体であることを大切にしていきましょう。
まとめ:吃音を克服せず個性として受け入れる選択
吃音は、克服しようとする必要がない一つの個性です。無理に治そうとせず、むしろそれを自分らしさの一部として受け入れることで、吃音は「強み」に変わることもあります。吃音を持つ方が、自分自身と向き合いながら、他者と豊かなコミュニケーションを築いていけることを願っています。
※※補足※※
私は吃音を「克服しない」という選択をしましたが、それは私自身がこの症状と向き合い、何とか自分の生活の中で受け入れることができたからです。しかし、吃音の程度やその影響は人それぞれであり、誰にでも同じ道が適しているわけではありません。
吃音が原因で日常生活に支障をきたしたり、人と話すこと自体が困難になってしまう方もいます。中には、吃音コンプレックスが進行し、緘黙になってしまうケースもあるでしょう。そのような方々にとっては、吃音を「克服すること」が、日々の生活や心の安定を取り戻すために必要不可欠なことかもしれません。
そのため、吃音に対する治療を選び、専門家のサポートを受けることは、全く正しい選択です。言語療法やカウンセリング、認知行動療法など、多くの手段が用意されています。吃音が生活に大きな影響を与えている場合は、無理をせずにこれらの専門的な治療に取り組むことをぜひお勧めします(私はその専門家ではないためお力添えはできず申し訳ございません)。
重要なのは、自分がどの道を選んでも、その選択が自分にとってベストであり、尊重されるべきだということです。吃音に悩んでいる方が、適切なサポートを受けながら、自分らしい生き方を築けることを心から願っています。