INFP人生記

著者:MBTI診断INFP-T/男/家庭持ち/1980年生/吃音/HSP/営業職

INFPが怒られすぎて感じた“魂の離脱感” 自分が今ここにいない感じ|トラウマ体験と心の回復法

こんにちは、INFP-Tの田中です。私は家庭持ちで営業職をしている中年のサラリーマンです。吃音もあり、HSP気質を強く持っているため、人一倍感受性が強く、これまでの人生で数え切れないほど怒られてきました。若い頃の私は、なぜか「怒りをぶつけられやすい存在」だったように思います。理不尽に当たられることも多く、そのたびに「自分が悪いのかもしれない」と責めながら耐えてきました。

けれども、45歳になった今、ふと気づくと、以前のように激しく怒られることはほとんどなくなってきました。年齢を重ねるとINFPにもある種の「威厳」や「落ち着き」が出るのかもしれません。それはありがたいことではありますが、それでも過去の嫌な記憶が、不意にフラッシュバックしてくることがあります。

あの頃の私は、まるで「人格そのもの」を否定されているかのように、公然と罵られることがありました。お得意先や会社の重役の前で怒鳴られたときのことを、今でも鮮明に思い出します。その瞬間、私はある奇妙な感覚に襲われました。

――あれ? 今ここで怒鳴られているのは自分なんだろうか?

頭の奥がふわーっと遠のいていく。体はそこにあるのに、心だけがスッと抜け出してしまうような、幽体離脱的な感覚。私はその場に座りながら「これは自分ではなく、誰か別の人が怒鳴られているのではないか」と錯覚していました。

動物行動学によると、生き物が強いストレスや脅威を受けると「闘争か逃走か(fight or flight)」の反応を示すといいます。人間にも同じ仕組みがありますが、私の場合は「逃げたい」という気持ちが強かった。ただ、社会人としてその場から物理的に逃げ出すことはできません。そこで心だけが自動的に逃避し、 dissociation(解離)と呼ばれる状態になっていたのだと、今では理解できます。(これにちなんで思い出しましたが、二重人格・多重人格が形成されるには、幼少期の頃の過大な虐待にあった子どもが「今苦しんでいるのは自分ではない」と別人格を生み出す、というのを聞いたことがあります。無関係ではないと思います)

 

心理学的には、この現象は「防衛反応」の一種で、トラウマを受けやすいHSPやINFPに特に起こりやすいとされています。強烈なストレス下では脳が「現実感喪失」や「離人感」を生み出し、自分を守ろうとするのです。当時の私はそれを知りませんでしたから、ただ「自分は弱い人間だ」と思い込んでいました。しかし実際は、心が自分を守るために発動した仕組みだったのです。

年齢を重ねた今では、怒鳴られる場面は激減しました。けれども、ふとした瞬間に当時の光景が頭をよぎると、「あの人たちも私と同じ苦しみを味わえばいいのに」と暗い気持ちになることも正直あります。私は聖人君子ではありません。仕掛けられる側であった以上、倍返ししてやりたい、同じ強度の苦しみをもっと長く味わってほしい、と心の奥底で思うことがあるのです。

しかし同時に、私の中にはもう一つの気持ちも芽生えています。それは「自分があの地獄を生き延びた」という誇りです。あの瞬間、心が体から抜けるような感覚を経験したからこそ、今の私は「同じように苦しんでいる人の気持ち」を深く理解できるのだと思います。HSPやINFPであるがゆえに、私は過敏に傷つきやすい。しかし、その分、人の痛みに寄り添う力を持つことができるのだと信じています。

もしこの記事を読んでいるあなたが、今まさに職場や家庭で理不尽に責められているのなら、どうか自分を責めないでください。その感覚は「弱さ」ではなく、「生き延びるための知恵」です。そして時間はかかっても、必ずその呪縛から抜け出せる日がきます。私自身、45歳になってようやく過去を「思い出」と呼べるようになってきました。完全に忘れることはできなくても、その痛みを抱えたまま生きる強さを身につけられるのです。

あの頃の私は、「ここにいるのは自分なのか?」と混乱しながら怒鳴られていました。今はその経験を言葉に変えて、同じように悩む人たちに届けたいと思っています。私が歩いてきたこの道が、誰かにとっての「自分は一人じゃない」と思えるきっかけになれば、苦しんだ日々にも意味が生まれるのではないでしょうか。

 

 

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これはどんな症状?
このような感覚は、心理学的に「離人感」や「現実感消失」と呼ばれる解離症状に該当する可能性が高いそうです。離人感とは、自分の体や精神から切り離されたような感覚で、まるで自分の生活を外から観察しているように感じること。現実感消失は、周囲の環境が非現実的に見えたり、夢の中にいるような状態です。これらは、強いストレスやトラウマ(例: 繰り返しの叱責や虐待)がトリガーとなって起こることがあるようです。特に、怒られる状況が頻繁だと、心の防御機制として脳が一時的に「現実から離れる」ように働く場合があります。
これらの症状は、解離性障害の一種として分類され、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や不安障害、うつ病の症状としても現れることがあります。例えば、怒鳴られるとパニックが起き、思考が停止したり、感情が麻痺したりするケースが報告されています。 原因としては、幼少期の経験(厳しい教育など)や現在のストレスが積み重なることで、心が「耐えられない現実から逃避」しようとするメカニズムが働いている可能性があります。

 

こんなものなのか?

一時的な反応として起こり得るそうです。

誰しも強いストレス下で似た感覚を経験する人はいます。例えばSNSでは、「怒鳴られるとパニックで思考停止になる」「怒られた言葉を過度に受け入れて凹む」といった声が見られます。 これは、心が一時的に「守りモード」に入る自然な反応だそうです。