INFP人生記

著者:MBTI診断INFP-T/男/家庭持ち/1980年生/吃音/HSP/営業職

INFP-Tが職場の『ずけずけ事務員』に疲弊した話|境界線の引き方と心の守り方

こんにちは、INFP-Tの田中です。今日は職場でのちょっとした人間関係の悩みについて、私の体験を交えながらお話ししたいと思います。

 

なんでも遠慮なく言ってくる人に振り回される日々

私の職場には、思ったことをズバズバと言ってくる事務員さんがいます。一見すると気が利いて、周りのことによく気づく人なのですが、実際に一緒に働いてみると、なかなか大変な存在なのです。
「田中さん、このパソコン遅いんだけど、なんとかなりませんか?」
「この資料の作り方、教えてもらえません?」
「あ、ついでにこれも見てもらえますか?」


一日のうち、こんな調子で声をかけられることが頻繁にあります。気がつくと、私の作業時間の2割近くが、こうした対応に取られているのです。


最初の頃は「協力的でいい人だな」と思っていました。でも、だんだんと気づいたのです。この人は確かに周りのことに気がつくのですが、実際に手を動かして作業することは少ない。むしろ、他の人にお願いして解決してもらおうとする傾向があることに。

 

INFP-Tが陥りやすい「良い人」の罠

INFP-Tの私たちは、調和を重視し、人を助けたいという気持ちが強いタイプです。心理学的には「人助け症候群」とも呼ばれる状態に陥りやすく、自分の時間や労力を犠牲にしてでも他者の要求に応えようとしてしまいます。
私もまさにその典型でした。「頼られている」という感覚は確かに嬉しいものです。でも、それが日常的になってくると話は別です。自分の本来の業務に集中できず、常に誰かの要求に応えることに追われる状態になってしまいました。
荒れ狂う海を小舟で渡るような、そんな不安定な感覚が続きました。心が穏やかでいられる時間がどんどん減っていったのです。


境界線を引く勇気を持つまで


転機が訪れたのは、ある日のことでした。その事務員さんから「このエラーメッセージ、どういう意味ですか?」と聞かれたときのことです。画面を見ると、よくある「メモリ不足」の警告でした。
「それはパソコンのメモリが足りないということですね」と答えると、「じゃあどうすればいいんですか?」と続けて聞かれました。そのとき私は気づいたのです。この人は問題を解決したいのではなく、誰かに解決してもらいたいのだということに。
私は深呼吸をして、こう答えました。
「それについては、グーグルで『メモリ不足 対処法』と検索すると詳しい方法が出てきますよ」
その瞬間、私の中で何かが変わりました。相手は少し不満そうな顔をしましたが、実際に自分で調べて解決していました。


健全な境界線の引き方

心理学者のブレネー・ブラウンは「境界線は親切さと同義である」と述べています。最初は冷たいように感じるかもしれませんが、実際には相手の成長機会を奪わず、自分の精神的健康も保つことができる方法なのです。


私が実践するようになった境界線の引き方は以下の通りです。


1. 明確な情報提供で終わらせる
「わかりません」「それはPCの性能の問題ですね」など、事実ベースの情報だけを伝えて、解決策の提供は控える。


2. 自立を促す回答を心がける
「調べ方をお教えしますので、今度から参考にしてください」といった形で、相手の自立を促す。

 

3. 時間的な境界線を明確にする
「今は集中したい作業があるので、後ほどお答えします」など、自分のペースを尊重する。

 

罪悪感との向き合い方

境界線を引き始めた頃は、正直なところ罪悪感がありました。「冷たい人だと思われているかもしれない」「協力的でない人と評価されるのでは」という不安が頭をよぎったのです。
しかし、よく考えてみると、私が無償で時間と労力を提供し続けることで、本来なら公平に分担されるべき負担が偏っていたのです。私が「聖人」である必要はないし、むしろ健全な職場環境のためには、適切な境界線が必要だったのです。

 


人間関係の本質を見つめ直して


この経験を通じて、人間関係についても考えが変わりました。最初は「みんな自分勝手なんだ」と失望しかけましたが、実は違うということに気がつきました。
人は確かに自分のことを優先しがちですが、それは決して悪いことではありません。大切なのは、お互いが適切な距離感を保ちながら、それぞれの責任を果たすことなのです。
私が学んだのは、相手のためを思って何でも引き受けることが必ずしも親切ではないということでした。時には「NO」と言うことが、相手にとっても、自分にとっても、そして職場全体にとっても良い結果をもたらすことがあるのです。


INFP-Tとして生きていくために

私たちINFP-Tは感受性が強く、他者の感情に敏感です。それは素晴らしい特性である一方で、適切な境界線を引くことが苦手になりがちです。
でも、境界線を引くことは決して冷たいことではありません。むしろ、長期的に良い関係を築くために必要なスキルなのです。
今では、あの事務員さんとも適度な距離感を保ちながら、必要なときには協力し合える関係を築けています。私自身も、本来の業務に集中できる時間が増え、仕事の質も向上しました。
職場での人間関係に悩んでいる同じINFP-Tの方がいらっしゃいましたら、「境界線を引く勇気」を持つことをお勧めします。最初は勇気がいるかもしれませんが、きっとあなた自身と周りの人たちのためになるはずです。
人は人、自分は自分。でも時には助け合う。そんなバランスの取れた関係性こそが、私たち内向型の人間にとって心地よい環境なのだと思います。

 

※ちなみに、ずけずけいってくる事務員さんとは、あくまで業務中にそういう態度をとられるのが鬱陶しいだけで、休憩時間や飲み会などで隣り合わせる分には、その図々しさがかえって座持ちがよくて、むしろいいと思っています。